オープニングはパリの夜、数々のネオンサインが映し出されます。「Revue Intime」のネオンサインが表示され、店内に画面が変わります。そこで行われているショーは、大勢の女性が円形の回るステージで音楽に合わせて指人形のダンスをしています。(この指人形ダンスのフイルムは、1942年の『パリのジャンヌ・ダーク』で一部使われています。)ガイが素晴らしい指人形ダンスを披露します。この後、会計をしようとしますが、エグパートが財布を忘れたと支配人に言い、支払う代わりにガイがダンスをします。それで支払いをしないで済みますが、財布はエグパートの胸ポケットに入っていたというオチがつきます。
アメリカで有名なダンサーのガイが友人のエグバートと税関に来ていて一人になった時に、スカートがトランクに挟まって困っている女性に出会います。トランクからスカートを引っ張って外そうとして失敗します。ガイは彼女にコートを貸して別れます。ガイは。その娘に一目ぼれして彼のアタックがここから始まりますが、彼女は全然相手にしてくれません。彼女を探して回っている時に、よそ見運転をして前に車に軽く接触します。前の車を運転しているのは、探している女性でした。彼女に声を掛けますが無視されて、彼女の車は全速力で走り出しました。そこからガイと彼女のカーチェイスが始まり、何とか彼女の車を停めて名前だけは聞き出します。彼女の名前は“ミミ”。
ミミは夫からDVを受けていて離婚するために、叔母さんの知り合いである弁護士のエクバートに離婚手続きの依頼に行きます。エクバートの提案で偽の恋人を雇ってミミの浮気を偽装し、その現場を探偵に目撃させて夫から離婚させようと云う作戦で動き出します。ガイが普段から口癖にしている台詞を、エクバーが偽の恋人との合言葉にした為に物語は複雑な展開になります。
リゾート地に向かうエクバートに同行したガイは、そこでミミを見付けて追いかけて行って話しかけます。ガイを拒否するミミに“Night and Day”を歌いながら自分の思いを伝え、二人のダンスが始まります。このダンスはミミの心情が変っていく様を見事に表しています。踊り終わった時のミミの顔が恋する乙女になっています。二人のダンスは華麗で、ジンジャーはとてもセクシーです。うっとりした表情のジャンジャーが素敵です。
しかし、踊り終わった時にガイが口癖の台詞を言った為に、ミミは彼が雇われの恋人だと思い態度が一変します。ガイは夜中にホテルのミミの部屋に誘われ、不審に思いながら彼女の部屋に行きます。チグハグなやり取りの後、部屋のバルコニーで話しているうちにミミは勘違いだった事に気づきます。
仲直りした時に雇われ恋人のトネッティが現れ、二人は部屋に監禁状態になります。バルコニーの下のフロアーでは多くの人が踊っていて、ガイが流れている音楽の意味をミミに聞くとミミは曲に合わせて“コンチネンタル”を歌います。ガイは部屋から抜け出す為にトリックを仕掛けて部屋から抜け出し、フロアーで二人は踊ります。二人が部屋から抜け出した事に気付いていないトネッティは、バルコニーでアコーコデオンを弾きながら“コンチネンタル”を高らかに歌います。二人のダンスの後、大勢のダンサーによる様々なダンスが披露されます。(このダンス・シーンは約12分続きます。)
翌朝、ガイ、ミミ、トネッティの三人で朝食を取りますが、ミミの夫が地質学者だと云う話になります。その時、ウェイターが以前宿泊したブラウン教授から聞いた話をします。そこにエグバートが入って来て、探偵の代わりにシリル(ミミの夫)を連れて来たと云います。ガイは隣の部屋に隠れて、ミミとトネッティが恋人同士のようにしてシリルを待ちます。シリルが部屋に入ってきたので、ミミとトネッティは恋人同士のふりをします。シリルにトネッティが偽の恋人と見抜かれましたので、ミミはガイを呼びます。ミミは離婚したらガイと結婚すると言いますが、シリルは無視してミミを連れ帰ろうとします。そこにウェイターが現れて、シリルの顔を見てブラウン教授だと言います。その時フランス人の奥さんと一緒だったと話すと、シリルは自分の浮気がばれたので逃げ帰ります。
ラスト・シーンは、ガイとミミが再び“コンチネンタル”を、部屋にあるソファーや食卓や椅子を利用しながら踊ります。この映画の二人のダンスは本当に素晴らしく、とても共演2作目とは思えない息のピッタリ合ったダンスです。このような素晴らしい二人のダンス・シーンを見る為に、観客は次回作からも劇場に通い続ける事になる訳です。1934年の『コンチネンタル』は、フレッドとジンジャーのダンスが完成された作品です。未見の方は、是非ご覧頂きたいと思います。最後までお付き合い頂きまして、有難うございました。
『コンチネンタル』 作品データ
アメリカ 1934年 モノクロ 107分
原題:The Gay Divoicee
監督:マーク・サンドリッチ
製作:パンドロ・S・バーマン
脚本:ジョージ・メリオン・ジュニア、ドロシー・ヨースト
撮影:デイヴィッド・エーベル
音楽監督:マックス・スタイナー
音楽:コール・ポーター
マック・ゴードン、ハリー・レヴェル
コン・コンラッド、ハーブ・マジッドン
※主題歌の“コンチネンタル”は、この年創設されたアカデミー主題歌賞を受賞しています。
出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース
アリス・ブラディ、
エドワード・エヴェレット・ホートン
エリック・ローズ、エリック・ブロウ
ウィリアム・オースティンリリアン・マイル
アート・ジャレット、ベティ・グレイブル