Vol.19 『フロンテア・マーシャル』の続き

金鉱脈を探すエド・シーフェリン(左)  銀鉱石を発見したエド(右)

 オープニング・タイトルで1887年南アリゾナの岩山の頂が映り、一人の男がアパッチ族の調査をしながら金鉱脈を探しています。男の名前はエド・シーフェリン、彼は広大な銀鉱脈を発見しました。カリフォルニアのゴールド・ラッシュに続き、シルバー・ラッシュが始まりトゥームストーンが大都市になるまでを3分弱でドワン監督は演出しています。銀鉱脈を発見したエド・シーフェリンは、トゥームソーンの設立者です。

左からカーター、チャーリー、カーリー

 “歓楽の宮殿”を経営しているベン・カーターの元に、カーリー・ビルと三人組が金を運んできます。通りの向かいに新規開店した“ベラ・ユニオン”を眺めながら、インディアン・チャーリーにウィスキーを好きなだけ飲ませます。チャーリーは泥酔した状態で“ベラ・ユニオン”に入り、客の一人を撃ち殺して立て籠ります。周辺は騒然となり、市長は保安官に逮捕するように命令しますが、ワード・ボンド演じる保安官は拒否します。煩くて眠れないと、2階からワイアット・アープが声を掛けて降りてきます。その場で保安官代理になり、一人酒場に乗り込み銃で1発撃ち込んで倒し、気絶した酔っぱらいの片足を掴んで引き吊りながら出来ます。(このシーンのランドルフ・スコットは、とてもカッコいいです。)市長から保安官になって欲しい依頼されますが、断ります。その直後、ワイアットはカーリーを始めとする3人組に連れ出されてリンチにあいます。ワイアットは先程断った市長の申し入れを受けて保安官になり、3人組を同じ場所に連れ出に仕返しをし警告して帰ります。

チャーリーを引き摺り出すワイアット

 “ベラ・ユニオン”で歌うジェリーがステージを終えて、ポーカーをしているテーブルに来ます。一人の手札を見て、向かいに座るダンにサインを送ります。それを見ていたワイアットは、ジェリーを表に連れ出して注意をします。ジェリーはワイアットに平手打ちをしたので、ワイアットはジェリーを水桶に放り込みます。ポーカーを続けていると、ドク・ホリディが現れます。ドクはジェリーの件で文句を言ってきますが、急に咳き込んでしまいます。過去にドクとイザコザガあったダンは、ドクを射殺しようとしますがワイアットが阻止します、ワイアットに命を救われた事により、二人は友人となります。カウンターでワイアットはウィスキーを飲み、禁酒中のドクはミルクを飲んで拳銃談義で盛り上がります。

左からドク、ピート、ワイアット

 そんな時、ドクの婚約者のサラが現れます。ドクとサラは奥の部屋で話始めて、ドクが肺病の自分の事を構わないで帰るように話し、ジェリーを呼んで彼女を愛しているとサラに伝えます。サラは諦めて明日の駅馬車で帰る決心をします。後ほどワイアットはサラの部屋を訪れて、ドクを救えるのは貴女しかいないし、ドクが愛しているのは貴女だと伝えて説き伏せます。ワイアットの説得でサラは町に残る事にします。

サラの出現で困窮するドク

 市長は銀塊の輸送をいつもと違う方法で輸送するので、ワイアットに警護を依頼します。ドアの外でそれを聞いていたジェリーは、ワイアットに復讐する為にベン・カーターに駅馬車を襲うように言います。翌朝ワイアットが馬車に乗車しようとすると、既にドクが乗車していてワイアットと同行する事になります。ドクはワイアットがサラを説得したので、自分が町を出る事にしたとワイアットに云い、余計な事をするなと怒ります、ワイアットはドクをトゥームソーンに連れ帰すと言い合いになりますが、カーターやカーリーたちが駅馬車を襲ってきます。

馬車の中で言い合いになる
ワイアットとドク

 銃撃戦で銃撃戦でカーターを射殺し、撃ち合いながらトゥームストーンに引き返します。途中ドクは銃で撃たれて怪我をします。ドクの治療は始まりますが、ここからサラとジェリーの女の闘いが始まります。看護師のサラには流石のジェニーも部屋から追い出されてしまします。

ドクの治療をするサラ

 そんな時にワイアットとカーリーの仲間との撃ち合いがあり、酒場のピートの子供のパブロが流れ弾に当たって負傷します。町の医者が不在の為、急遽ドクが手術を行う事になります。ここではジェニーはサラと協力して、子供の命を救おうと奔走します。無事手術が終わりサラと通りに出た時、ドクはカーリーに射殺されます。

手術中のドクとサラを見つめるジェニー

 カーリーの呼び出しに応じてワイアットは、OK・コラール(牧場ではありません)に一人で向かい逃げたカーリー以外の全員を射殺します。カーリーは馬のいる所まで逃げて、ライフルでワイアットを撃ちますが、ジェニーがカーリーを射殺します。翌朝、サラは町に残りジェニーは町を出ます。

カーリーを射殺するジェニー(左)ドクの墓に別れを告げるジェニー(右)

 ランドルフ・スコットは、沈着冷静なワイアット・アープ像を見事に演じています。銃で撃つ時も基本的には殺さず負傷させる心情が現れています。彼は保安官役がピッタリあっていますね。ドク役のシーザー・ロメロは死に急ぎ死に場所を探している男から、サラに再会して負傷してからは穏やかさを表すようになり、手術のシーンでは昔のドクに変わってゆく様をキッチリ演じています。一方、サラ役のナンシー・ケリーはとても18歳とは思えない堂々とした演技で、ドクに語りかけるシーンは素晴らしいです。そして、ジェリー役のビニー・バーンズの演技は最高です。パブロの命を救おうとする時の表情や動き、ドクとサラのやり取りを見ている時の表情や、、最後に駅馬車で街を出る時にドクの墓を見る時の表情。どれもジェリーの心情が上手く表れています。本当に素晴らしい女優さんです。

 この映画は、勿論史実と違う点が多々あります。架空の女性二人を登場させて、ドクとの三角関係を軸に物語は展開されています。同じ題材を扱った作品も多いので、次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難うございました。

「西部劇パ-フェクト・コレクション 復讐の荒野
『復讐の荒野』,『砂漠の精霊』,『掠奪の町』,『フロンティア・マーシャル』等が収録されている、大変お得な10枚セットです。
発行:コスミック出版

フロンテア・マーシャル』 作品データ

アメリカ 1939年 モノクロ 71分

原題:FRONTIER MARSHAL

監督:アラン・ドワン

脚本:サム・ヘルマン

出演:ランドルフ・スコット、ナンシー・ケリー

   シーザー・ロメロ、ビニーズ・バンズ

   ジョン・キャラダイン、エドワード・ノリス

   エディ・フォイ・Jr、ワード・ボンド

   ロン・チェイニー・Jr