Vol.49 『英雄を支えた女』の最終章

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グラスにウィスキーを注ぐスティーリー(左)
スティーリーを銃で撃とうとするイーサン(右)

 ハンナが死んだと思ったスティーリーはバージニア・シティに行き、酒場でウィスキーをグラスに注ごうとした時、銃声がしたと同時に手に持ったウィスキー便が砕け散ります。銃を撃った男は、俺が酒を飲みに来た時は俺の奢りだと。そして銀山の王イーサン・ホイトだと名乗りますが、ウィスキーの瓶を持っていた男を見て、スティーリーだと気が付きます。イーサンは銃を向けたままスティーリーに近づき、何の用だと言います。スティーリーがハンナは死んだと言った途端にイーサンは銃でスティーリーを撃ち酒場を出て行きます。

イーサンの近況を話すスティーリー(左)
微動だにせず話を聞くハンナ(右)

 撃たれたスティーリーは命を取止め、嘗てハンナが経営していたサクラメントの宿屋に行きます、スティーリーが宿屋の中を覗くと奥の部屋から明かりが見えたので中に入るとハンナがゆり椅子に座っていました。ハンナに我々は死んだとイーサンは思っていて彼が再婚した事を伝えます。(この場面のハンナは瞬き一つせずにスティーリーの話を聞き、その表情はやがて悲しみを堪えているのが伝わって来ます。)ハンナは子供たちの埋葬地に行き、そこでサンフランシスコ行きを決めます。

ハンナにイーサンが再婚した事を告げる父親(左)
父親を追い返すハンナ(右)

 ハンナはスティーリーがサンフランシスコで経営する賭博場でディーラーとして働いています。そこに父親が突然ハンナに会いに来ます。ハンナは家族の事を聞こうとしますが、父親は話を遮ってお前は死んだと思われているから死んだままでいてくれ。名前を変えて何処か遠くに行ってくれと言います。イーサン・ホイトは再婚して子供もいるので、お前の存在がスキャンダルになる。イーサン・ホイトの夢は破れて鉄道を引こうとしている。その為に出馬して議会に出ようとしていると言います。。ハンナはイーサンがホイト・シティを創るのを諦めて反対勢力と結託しようとしている事を知り、父親を追い返します。ハンナはスティーリーに別れを告げ、ホイト・シティに向かいます。

再会したハンナとイーサン(左)
ホイト・シティを創るように説得するハンナ(右)

 ハンナは選挙演説を聞き、かつてのイーサンが言っていた事を対抗するハンクが言い、イーサンが反対していた事をイーサン自身が言っているのを聞きます。演説が終わってイーサンは一人、嘗てハンナと暮らした家で自分の信条に背ている自分を責めます。その時、外で物音がしたので窓から外を見るとハンナが立っていました。イーサンは外に出て再会を喜び近況を話し、ハンナは二人が出会った頃の話をします。二人は家に入り、イーサンは自分一人では夢を実現出来ないと言いますが、ハンナは二人で夢見たホイト・シティを創るように言います。力を貸して欲しいと言うイーサンに、ハンナはもう離婚したからと嘘を言って自力で実現するように諭します。イーサンは馬上の人となり帰って行きます。(とても良いシーンです。)

銅像を見上げる二人(左)        結婚証明書を破るハンナ(右)

 画面が変わって、ハンナが伝記作家に話しているシーンになります。1906年にスティーリーはサンフランシスコの大火事で人助けをして死んだ事、その年イーサンが死ぬ為にハンナの家を訪れた事を話します。二人はイーサン・ホイトが馬に乗っている銅像の前に立ち、ハンナは伝記作家にイーサンの偉業を語ります。伝記作家は話を聞き終えると、ハンナにキスをして伝記を書くのを止めますと言います。ハンナは彼女を帰してから、ボロボロになった結婚証明書を出して細かく破いて捨てて帰宅します。こうして奇妙な三角関係のラブ・ストーリーは終わります。

帰宅するハンナ

 最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。

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『英雄を支えた女』 作品データ

アメリカ 1942年 モノクロ 90分

原題:The Great Man’s Lady

監督:ウィリアム・A・ウェルマン

製作:ウィリアム・A・ウェルマン

脚本:W・L・リヴァー

原作:ビーニャ・デルマー(コスモポリタンの短編小説「人間の側面」)

アデラ・ロジャース・セント・ジョンズ

ソーナ・オーウェン

撮影:ウィリアム・メロ

美術:ハンス・ドレイアー、アール・ヘドリック

編集:トーマス・スコット

音楽:ビクター・ヤング

出演者:バーバラ・スタンウィック、ジョエル・マクリー

    ブライアン・ドンレヴィ、K・T・スティーブンス

    サーストン・ホール