モリ―は昼夜を掛けて車を走らせ、宿泊先の24時間営業の放牧場に着きます。そこは周囲が金網で囲われていて、その中に建物があります。モリ―が金網の扉の横のボタンを押すと、建物の中からビキニ姿の若い子が出て来て扉の開錠をして中に案内します。部屋に入るとビキニ姿の若い子達が待機していて、モリ―を出迎えます。ここの本業は売春宿で女の子がいつもの客のように話すと、モリ―はバカと話に来たんじゃないと言います。ここを仕切っているビバリーが現れ、モリ―に挨拶をしてなんでも云いつけるように言います。モリ―が“ベッド”と言うと、ビバリーは特別室に案内します。モリ―は翌朝の朝食を注文すると、ビバリーが“お楽しみの方は?”と聞きますが、モリ―は“金で寝る女は好きじゃない”と断ります。
画面が変わってトレーラーハウス、ターフ夫人が登場して石を拾ってドラム缶に投げ入れます。トレーラーハウスの中では、サリバンが奪った金が無くなっている事に気が付き、チャーリーと叫びながら外に飛び出します。外ではターフ夫人が、銀行強盗の記事が書かれた朝刊を郵便受けから勝手に取り出して読んでいます。サリバンは走りながらターフ夫人に、チャーリーを見なかったか聞きます。ターフ夫人は銀行強盗の記事が出ていると言いながらサリバンに新聞を渡し、チャーリーは奥さんを探しに行くと言って早朝出て行ったと言います。サリバンがハウスに戻ると電話機が鳴っていました。チャーリーからの電話で部品の買い出しで町に来ていると言うと、サリバンは金の隠し場所を聞きます。チャーリーは安全な場所に隠したと言い、やる事が沢山あるから外に出ないように伝えて、夜には帰ると言って電話を切ります。
チャーリーは銃砲店に入り、車椅子の店主のトムにアルの紹介で来たことを告げます。トムはアルの風貌を訪ね、アルの友人か確かめます。チャーリーは偽造パスポート屋の紹介を依頼すると、500ドルと言うので高いと言ったら600ドルに値上げされます。(1973年の1ドルは、250円くらいです。)600ドル払って偽造パスポート屋の名刺を貰い、トムに大金を隠す場所を聞きますが、連絡先を聞かれたので又来ると言って店を出ます。モリ―が寝ている部屋にビバリーが電話機を持って入ってきます。ジョンからの電話で、トム銃砲店に行くように指示があります。
画面が変わって、ウエスタン信託銀行のニューメキシコ支店に頭取のメイナード・ボイルが現れます。中に入ろうとすると止められたので、支店長のハロルド・ヤングに会いたいと言います。会うには検事の許可が必要だと言って、男は中に入ります。その時ブランコに乗っている女の子がボイルに声を掛け、押してくれるように頼みます。ボイルが女の子の背中を押していると検事が出て来て、何の用か尋ねるので支店長に会いたいと言います。ボイルが話しながら女の子の背中を押しているので、検事が寄って来て今は会えないと言います。ボイルが支店長逮捕したのかと聞くと、検事は逮捕していないが全員が容疑者だと言い、ボイルの滞在先を訪ねて連絡するように伝えると言って銀行に戻ります。(この何気ないブランコのシーンは、シ-ゲル監督らしい演出ですね。)
チャーリーは偽造屋のジュエル・エベレットのスタジオに行きます。車いすのトムの紹介だと言って、トムの名刺を渡します。彼女に偽造パスポートを2通造るように依頼すると、2通で500ドルと言われます。彼女はチャーリーの写真を撮り、お金を受け取ります。サリバンの顔写真は彼の免許証からコピーするように言うと、彼女が完成は2日後と言うので明日の6時までにチャーリーは言います。特急料金で更に500ドルを請求するので、お金を渡して夜中の12時に受け取ると言います。帰りがけにプラスチック容器に入ったキャンディを1本取って“貰うよ”と言ったら、彼女は“500ドルよ”と言うのでチャーリーはキャンディを諦めて帰ります。
画面がかわって、モリ―がトムの銃砲店に表れます。トムにモリ―だと名乗ると、とっておきの情報があるが金を出せと言います。モリ―は心がけ次第で金は稼げると言うと、トムが安売りはしないと言ってウィスキーを飲みます。モリ―はニッコリ笑って、車椅子のトムをカウンター越しに強く押します。トムは後ろにあった棚にぶつかり、車椅子ごとひっくり返ります。モリ―は話を聞かせて貰おうかと言います。(その後の無用な暴力シーンは省略されていますが、相手が身体障者でもモリ―は容赦ない暴行を加える事は充分に想像できます。)
ボイルと支店長のヤングが、郊外の牧場で話をします。ボイルは組織から疑われていると言い、何故ヤングの支店を選んだのか聞かれると答えようがなかったと言います。マフィアの隠し金の事は、俺とお前しか知らない。その金が金庫に入った直後に奪われたのは、内部の犯行だと思われているとボイルが言います。ヤングはボイルに偶然だと言いますが、マフィアは偶然を信じないとボイルが言い、どうしてマフィアの金を渡したんだと問い詰めます。ボイルはヤングに身を隠すように言い、見つかったら拷問されて殺されると言います。ボイルは、すっかりおびえ切ったヤングを連れ帰ります。
モリ―が偽造屋エベレットのスタジオに現れ、チャーリーの名刺を手に入れてトレーラーハウスに向かいます。モリ―は郵便受けのハウスの番号を見て、車で近付き“チャーリー・ヴァリック”と二度大声で叫ぶと、隣人のターフ夫人が戸を少し開けて留守だと言います。モリ―が仕事の話で来たと言うと、ターフ夫人は隣のサリバンに話すように言います。モリ―は車から降りて、サリバンのハウスのドアをパイプでノックした序に吸殻を出しています。サリバンが留守だと言うと、モリ―は空中散布を頼みたいと言い、明日は来られないから名刺を渡すと言います。サリバンはドアを少し開けますが、モリ―は暗くて名刺を探せないと言ってドアを開けさせます。部屋の中に入ったモリ―は、名前を確認すると、いきなり顔を殴って膝蹴りをし、強烈な一撃を腹に加えて投げ飛ばします。床に倒れたサリバンを起こして椅子に座らせて、もう一度腹を殴ってから“金は何処だ”と聞きます。肋骨が折れたサリバンが白状しないので、モリ―は質問を変えてチャーリーの居場所を聞きます。サリバンは知らないと言うと、モリ―が置いてきぼりにされたのかと聞きます。事情を知らないサリバンは置いてきぼりにされたと言うと、モリ―はどうして免許証を渡してパスポートを造ったか聞きます。サリバンは免許証を持っていると言ってモリ―に見せようとしますが、免許証はありません。モリ―はサリバンを投げ倒して“金はどこだ”と聞きますが、本当に知らないサリバンは知らないと答えてチャーリーが金を返すと言っていた事を伝えます。モリ―が何故金を返すのかと聞くと、サリバンがマフィアの鐘だからと答えます。モリ―は裏で糸を引いているのは誰だ、ヤングかボイルかと聞きますは、サリバンは知らないと答えると、モリ―はため息をついて、あんたじゃ話にならないと言ってこのシーンは終わります。(このシーンでのモリ―の堂々としたプロの仕事ぶりと、痛めつけられていくサリバンとの対比で、モリ―の恐ろしさがよくわかります。)
画面が変わって銀行で、保安官が支店長に元気がないなと声を掛けます。支店長が大丈夫だろ言って、部屋から出て行く保安官にドアを閉めるように言います。検事と保安官が銀行に待機していた二人の強盗の事を話している時に、支店長室から銃声がして支店長が自殺をしていました。警官たちは放置されていた車両を調べ、発見されたマッチを手掛かりに捜査を開始します。
トレーラーハウスから出てきたモリ―は、車でその場を去ります。近くの茂みに隠れていたチャーリーが現れ、ハウスの中に入ります。そこには惨殺されたサリバンの遺体がありました。チャーリーは死んだサリバンに”用心しないからだ“と言います。次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『突破口!』 作品データ
1973年製作 111分 アメリカ
原題:CHARLEY VARRICK
監督:ドン・シーゲル
製作:ドン・シーゲル
製作総指揮:ジェニングス・ラング
原作:ジョン・リーズ
脚本:ハワード・ロッドマン、ディーン・リーズナー
編集:フランク・モリス
音楽:ラロ・シフリン
ウォルター・マッソー:チャーリー・ヴァリック
ジョー・ドン・ベイカー:モリ―(殺し屋)
アンドリュー・ロビンソン:ハーマン・サリバン(相棒)
ジャクリーン・スコット:ネイディーン・ヴァリック(妻)
フェリシア・ファー:シビル・フォート(秘書)
シェリー・ノース:ジュエル・エベレット(偽造屋)
ジョン・ヴァーノン:メイナード・ボイル(マフィアのボス)
マージョ・ベネット:(隣人のターフ夫人)