オープニングはローアングルで撮った道路が映し出され、1台のタクシーが走り去ります。ガソリン・スタンドに車を停めて、スタンドの主人に道を尋ねてタクシーは走り出します。車内では後席に座った神父の服を着た男が、鞄から拳銃を出して運転手に渡します。やがて車は郊外のエディの家の前に停まり、二人は車から降りて家の横を歩いていきます。人の気配に気づいた犬が吠えだしますが、その家の主人が犬に静かにするように言います。二人の男たちは夫々銃を構えて、その主人を撃ち殺します。撃たれた男はエディ・マックリン、アール・マックリンの兄です。(殆ど台詞が無く無駄の無い演出と編集で、簡潔にテンポよく映像のみで伝えています。)
ガソリン・スタンドに、アルマ・マックリンが運転するトラックが給油の為に停まります。スタンドの主人が、あんたの家に客が行ったと言います。アルマはどんな人が来たか聞くと、スタンドの主人がタクシーに牧師が乗っていたと言いました。アルマはこの二人は組織から送られた殺し屋であると気が付き、電話を借りると言って、車から降りて家に電話を掛けますが返答はありません。
刑務所内の作業場が映し出されます。看守がアールを探して出所を告げ、アールは私物を持って監房から出ます。着替えを終えて入所時に預けた私物を受け取り、待合室で待つ愛人のベティ・ハーロウに会います。(このシーンはバックにハーモニカの音が流れ、タイトルから続いてじゅうぎょうクレジットが表示されます。)彼女が運転する車での二人の会話でベティは独り身を通し、アールが妻子とは疎遠である事が分かります。二人はベティが予約していたモーテルに行き、部屋に入ってベティはアールの着替えをトランクから出します。しかし、急にお手を止めて思い詰めたような表情でアールの傍に行くと、アールはガウンを着た彼女の太ももを触ります。ベティが後退りをするので、アールが“どうした”と声を掛けます。ベティは直ぐエディの処に行こうと言います。アールが明日の朝に行くと言うと、彼女は困った切った表情でベッドに座り込みます。アールは彼女の近くに来て祖父の話をしていると、彼女は“許して”と言って脅迫された事とエディが殺された事を伝えます。泣きながらアールに抱き着くと、アールは彼女を突き放します。
画面が変わって、車の中から一人の男がモーテルを監視しています。寝静まったのを確認して、アールが泊っている部屋に向かって行きます。ドアの前に立って胸の前で十字を切り、サイレンサー付きの銃を手にしてドアを蹴破って発砲します。ベッドに4発撃ち込んだと同時に入り口の横で待機していたアールに灰皿で殴られて、銃を奪われて椅子に座らされます。アールは銃口を殺し屋の喉元に突き付け、誰に雇われたか聞きます。殺し屋は殺されると言って白状しないので、アールは銃口を髪の生え際に向けて発砲します。弾は髪の毛を吹き飛ばします。アールの更なる質問に殺し屋は、雇主はジェイク・メナーで紹介者はジム・シンクレアだと白状します。アールは殺し屋を電話ボックスに連れて行き、メナーにアールは死んだと報告させて殺し屋を解放します。
画面が変わって車の中、ジェイク・メナーがいるロスアンゼルス.へ夜間に移動しています。ベティが脅されてモーテルを予約したと言い謝罪します。アールは何をされたか聞いたが彼女は答えないので、彼女の腕を見ると火のついた煙草を押し付けられた焼け跡が5個ついていました。夜が明けて車をホテルの前に駐車して、アールはジャック・メナーの部屋に向かいます。従業員専用のエレベーターで上の階に向かい、拳銃を手で隠し持って廊下の見張りに銃を突き付けて部屋にいる人数を白状させます、見張りと屋外の非常階段に行き、見張りの後頭部を銃座で打って気絶させます。見張りが手に持っていたサンブラスが落下するのをカメラが映します。
アールはメナー達がいる部屋に急ぎ足で向かい、拳銃にサイレンサーを付けてドアをノックします。部屋の中から誰だと声がし、アールと答えるとチェーンロック付きのドアが少し開きます、アールはドアを蹴ってドアを開け、護衛を拳銃の銃座で殴り倒します。円卓を囲んで座っている7人のボスたちに財布を出すように言い、護衛にその財布とテーブルの金を集めさせてコートに包ませます。アールは“マクリン”と名乗り、“何故、俺を狙う”聞きます。メナーは兄弟とコディが組織の銀行を襲ったから、その報復で兄のエディを殺したと言います。アールは慰謝料25万ドルを組織は払えと言い、金を払うまでシマを荒らすと言ってそれは別勘定だと言います。メナーが勝手にしろと言うので、アールはいい指輪だなと言いながらメナーの背後に回ってメナーの左手の拳を撃ちます。動くと死ぬぞと言って、金を持って部屋から出て行きます。ホテルの玄関を出てベティが運転する車に乗り、北を目指して車は走り出します。
画面が変わって、ステーション・ワゴンがエディの食堂の前に停まります。車から二人のハンターが降りて、銃を持って入って行きます。カウンター席に座るとコーヒーを注文して、店員にエディはいるかと尋ねます。店員が裏にいると言うと、その客は呼べと言います。その声を聴いていたエディが奥から出て来て、俺だと言って誰だっけと聞きます。昔の仲間の友達だと言うのでカウンターの奥に歩きながら、仲間の名前を聞くと“どうでもいい”と言います。エディは笑いながら包丁を持って食パンを持ち、パンを切りながら“そうだな”と言って“ツグミ撃ちか”と聞きます。男が“そうだ”と言うので、朝早く行かないと駄目だと言い、銃が大き過ぎると言います。鳥がバラバラになると言うと、男は“そうかい”と言って横の男に合図をします。もう一人の男は立ち上がって、入り口に置いた銃を構えます。それを見たエディは、銃の事ならそこにいる保安官に聞いてくれと言います。男は“馬券でも買いな、ついてるぜ”と言って出て行きます。保安官は“知り合いか”と聞くので、エディは“まあね”と言うと、店員は“いい連中だ”と言います。(この店員を演じているのは、エリシャ・クック・Jr.です。)
俯瞰の画面に変わって、エディ・マックリンの葬儀のシーンになります。牧師が祈りを捧げる姿をカメラがズームインし、地中に下がっていく棺を見つめるアールが映されます。画面は変わって、エディの家の庭でアルマがアールに話しています。内縁の妻だから、この家はエディの子供のものになると彼女が語ります。アールは彼女に24,000ドルを渡しますが、彼女は受け取りません。エディは引退していたのに、弟の頼みで銀行強盗を手伝った結果殺されたと言います。そしてアールに足を洗うように言いますが、アールはエディの仇を取ると言います。彼女はお金でエディは戻らないと言いますが、アールは“落とし前”をつけると言って帰ります。
画面が変わって、アーサー・メイラーの邸宅の前に車が停まります。邸宅の敷地内のテニス・コートで、メイラーの妻のリタがコーチによるテニス・レッスンを受けています。その光景を椅子に座って眺めているメイラーの元に、ジェイク・メナーが現われて“ボス、面倒が起きました”と言います。メイラーは、それはお前の問題だと言って一蹴します。一方、アールはベティを連れてコディの店に行きます。裏口のドアをノックすると、ドアが少し開いて黒人が”閉店だ“と言います。アールが”“コディは”と言い、“マックリンが来たと言え”と言うと黒人の男はドアを開けます。コディは留守で、マッジが奥から出て来て仲間の近況を話します。やがてコディが現われて近況を話し、ベティを相棒として紹介します。二人でカウンター席に並んで座って、ビールを飲みながら兄のエディが死んだ事を伝えます。コディが俺の処にも来たが、どうゆう筋かとアールに聞きます。組織の銀行だった、兄貴の仇を討つから手伝えと持ち掛けます。コディは快諾しますが、女は置いて行けと言います。アールがベティは一緒だから、他の奴に助太刀を頼むと言います。それを聞いてコディは、渋々助太刀を引き受けます。
二人が郊外の道路を走って行くと、アタッシュケースを持った年配の男の前で車に停めます。ここ年配の男は武器商人で車に乗せ、“マックリンだ”と言うと“信用するぜ”と言葉を返します。アールは銃が二挺必要だと言って、銃を見せて貰います。コディはリボルバーのコルト357マグナム、アールはコルト45オートを買うと、武器商人は半額で買い戻すと言います。アールは弾薬を100発ずつ欲しいと言うと、武器商人は戦争でもするのかと尋ねます。コディが“そうだよ”と答えます。
次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『組織』 作品データ
1973年製作 105分 アメリカ
原題:THE OUTFIT
監督:ジョン・フリン
製作:カーター・デ・ヘイヴン
原作:リチャード・スターク
脚本:リチャード・スターク
撮影:ブルース・サーティース
編集:ラルフ・E・ウィンタース
音楽:ジェリー:フォールディング
出演:ロバート・デュパル (アール・マックリン)
カレン・ブラック (ベット・ハーロウ)
ジョン・ドン・ベイカー (ジャック・コディ)
ロバート・ライアン (アーサー・メイラー)
ティモシー・ケリー (ジェイク・メナー)
リチャード・ジャッケル (キミー・チャーニー)
シェリー・ノース (バックの妻)
ビル・マッキーニー (バック・チャーニー)
ジェーン・グリア (アルマ・マックリン)