Vol.70 『組織』の最終章

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父親に電話をするベティ(左)     見張っていたメイラーの手下(右)

 テレフォン・ボックスからベティは、ピッツバークの実家の父親に電話を掛けます。暫くの間実家に帰って良いかと尋ねますが、断られます。(このシーンではベティの問いかけの言葉しか分かりませんが、カレン、ブラックの表情の変化で父親の返事が読み取れます。電話を切る直前の泣きそうな表情は絶妙です。)テレフォン・ボックスから出て行くベティを、新聞を見ながら靴を磨いて貰っている男が新聞を下して彼女を見ています。

外出したベティに声を問い掛けるアール(左)
誰にも見られてないと言うベティ(右)

 涙を拭いてモーテルの部屋に入ったベティに、銃の手入れをしているアールは“何していた”と聞きます。ベティが“外出よ”と答えると、アールは“やばいぞ”と言います。ベティは“天井を眺めていれと云うの”と言い、アールに煙草を投げつけます。ベッドに横になっているコディに足をどけてと怒鳴ると、コディはサッサと部屋から出て行きます。

こんな生活は嫌だと訴えるベティ(左)
アールは銃の手入れをしながら仕方ないさと答えます(右)

 ベティはアールに“こんな渡り鳥似たいな生活は嫌だ”と言いますが、アールは“仕方ないさ”と軽く答えます。“私は心配して待っているだけ”、続けて“あんたが殺されたら私は待ちぼうけよ”とベティは訴えます。アールは銃の手入れを続けているので、“聞いているの”言ってアールの銃を奪って投げ飛ばします。アールはベティをベッドに押し倒して往復ビンタを何度もして、銃を手に取ってベティに銃に触るなと言います。アールが再び銃の手入れを始めたのを見たベティは、泣きそうになりながら“家に帰るわ”と言うとアールは“帰れと”言います。ベティが“もうパパに電話をしたわ”と言っても、アールは銃の手入れを続けています。アールが無反応なので“嘘よ”と言うと、“見つかるぞ”と言って来るので“誰にも見つかっていない”とベティが言います。アールは明日このモーテルを出て行くと言います。

仲直りをして笑顔で話す二人(左) アールに足を洗うように頼むベティ(右)

 アールとベティはベッドに二人横に並んで座り、笑顔で楽しいそうに話しています。ベティは愛して後悔していると言い、悪い事ばかりあったしあんたは禿だしと言った。アールは笑いながら枕でベティを叩くと、ベティがその枕でアールを叩きます。ベティは“足を洗うって”と言いますが、アールは“敵がいるから駄目だ。決着をつける”と言います。

コディに免許証の提示を求める警官(左)
メナーと部下が乗ったセダンが近づいて来ます(右)

 コディが運転する車の中、後部座席のベティがカップにコーヒーを注いでコディに渡します。暫く走って行くと道路脇にパトカーが停まっていて、後を追って来て停車するように指示します。警官がコディに免許証を見せるように言っている時に、3人の男が乗ったセダンが対向車線の遠くに停車します。

パトカーと衝突して落下したセダン(左)
アールはメナーを撃ち殺します(右)

 もう一人の警官はショットガンを持って車の後ろで待機したので、コディがコーヒーを警官に掛けて銃で撃ちます。同時にアールは後方の警官を撃ち、動く出したセダンを撃ち始め二人で車のタイヤをパンクさせます。セダンはコントロールを失いパトカーに衝突して、高い段差から落ちてひっくり返ります。車の中から出て来た銃を持ったメナーをアールが撃ち殺します。

後部座席で流れ弾に当たったベティ(左)      倒れこんだベティ(右)

 二人はその場から走り去りますが、後部座席のベティを見ると彼女は流れ弾に当たって死んでいました。(この短いシーンは、情感溢れる何とも切ない印書を与えます。)

ベティの葬儀まで依頼するアール

 画面が変わって、馴染の医者にベティの死亡届を出すように頼みます。医者は死因は肺炎にしたと言い、遺体を見るかと聞きますがアールは断ります。彼女が持っていた金時計も医者にやり、葬儀も頼んで病院から出て行きます。コディが待つ車に乗り、最後の仕事をする為に出発します。

警備状況を調べ終えたコディ(左)
警戒が厳重だがコディはアールに手伝うと言います(右)

 メイラーの邸宅の近くで警備の状態を調べていたコディが、モーテルに帰ってきてアールに報告します。警戒は厳重で庭には手下が大勢いるし、夜は明るいし番犬もいるし時々外も見回ると言います。中に入る事が出来ても出るのが大変だとコディが言うので、アールh“君は抜けてもいいぞ”と言うと、コディは“乗り掛かった舟だ”と言います。

メイラーの手下二人から車を奪うアールとコディ(左)
家の中に入って時限爆弾をし明けるコディ(右)

 メイラー宅の門から黒のセダンが外の見回りに出て来ます。近くの道路に停まっているアールたちの車を見て、手下二人で確認しますが無人なので去って行きます。家の中でメイラーは落ち着かず、ライトを点けるように手下を支持します。だだっ広い庭が昼間のように明るくなります。外を見回りしている車が先程の車に男が乗っているので、手下二人が車から降りてきます。近付いてきた手下二人にコディとアールは銃を向けて、“お前らの車を借りたい”と言って手下と入れ替わります。二人は邸宅の敷地内に入り、まんまと車庫までたどり着いて家の中に入り込みます。一人の手下は家の中を見回りをしていますが、1階の部屋のテーブルにコディは時限爆弾を仕掛けます。

メイラーの妻に銃を突き付けるコディ(左)
鏡で妻が銃で脅されているのを見るメイラー(右)

 二人は銃にサイレンサーを付けて2階に上がって行き、コディはメイラーの妻に銃を突き付けます。彼女は“私を殺すの”と聞くと、コディは“分からん”と答えます。メイラーが洗面所で髭を剃ろうと鏡を見た時、銃を突き付けられている妻を見ます。

銃を構えてドアを開けるメイラー(左)   メイラーに撃たれたコディ(右)

 メイラーはタオルで隠された銃を取り出して、撃鉄を起こして音を立ててドアを開け振り返ったコディを撃ちます。撃たれたコディは床に倒れます。

駆け付けて来た手下を撃ち殺すアール(左)  取引を申し出るメイラー(右)
メイラーを撃つコディ(左)       メイラーを撃ち終えたアール(右)

 銃声を聞いた手下が上がって来ますが、アールは撃ち殺します。コディが入った部屋からメイラーが出来て取引しようと言いますが、アールは手遅れだと言った時にコディがメイラーを撃ちます。アールもメイラーに止めを刺すように一発撃ち込みます。

メイラーに駆け寄る妻(左)
出血が激しいコディは少し休ませてくれ言います(右)

 妻が倒れたメイラーに駆け寄り、“何故殺したの”聞くと、アールは“金の恨みだ”と言って、負傷したコディを抱えながら部屋を出ます。2階に上がってこようとする手下に、威嚇射撃をして移動します。コディが遅いなと言っていると、仕掛けた時限爆弾が爆発します。かなり出血しているコディが“少し休ませてくれ”と言うので、アールは階段を上がろうとする手下に銃を向けて“手を引け、ボスは死んだぞ”と伝えます。

一本の煙草を回し喫みs始める二人

 手下たちは退散したので、コディの様子をみると、“アール”動けそうもないよ”と言いだします。煙草をくれと言うので“禁煙中だろう”とアールが言うと、“禁煙は徐々にするんだ”と言って“こっちは引退する”と言います。コディが“先に逃げろよ”と言うと、アールは“急ぐ事は無い”と言って、二人で1本の煙草を回し喫みします。(仲間同士の煙草の回し喫みは、昔から映画ではよく使われる定番でした。)

家の外に出た二人(左)       まんまと救急車に乗り込んだ二人(右)

 コディが辛そうな顔をしながら“もう行こうぜ”と言うと、アールが“いつでも”と言ってコディに手を貸しながら1階に下りていきます。アールはコートを脱いで用意していた白衣を着ます。家の外はサイレンが鳴り響き、パトカー、消防車、救急車が到着します。アールはコディに手を貸しながら外に出て、駆け付けた救急員に“中にもっといる”と言って二人は救急車に乗り込みます。近くにいた警官に“手伝え”と言って、彼に“酸欠だ”と言って後部ドアを閉めて救急車を運転して出て行きます。

救急車で逃げ出し、車内で大笑いするアールとコディ

 サイレンを鳴らしながら走る救急車の中で、アールが“楽に出られたろう”と言います。コディは“やっぱり善人は最後に勝つのさ”言い、二人で大笑いして映画は終わります。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。

『組織』 作品データ

1973年製作 105分 アメリカ

原題:THE OUTFIT

監督:ジョン・フリン

製作:カーター・デ・ヘイヴン

原作:リチャード・スターク

脚本:リチャード・スターク

撮影:ブルース・サーティース

編集:ラルフ・E・ウィンタース

音楽:ジェリー・フォールディング

出演:ロバート・デュパル (アール・マックリン)

   カレン・ブラック (ベット・ハーロウ)

   ジョン・ドン・ベイカー (ジャック・コディ)

   ロバート・ライアン (アーサー・メイラー)

   ティモシー・ケリー (ジェイク・メナー)

   リチャード・ジャッケル (キミー・チャーニー)

   シェリー・ノース (バックの妻)

   ビル・マッキーニー (バック・チャニー)

   ジェーン・グリア (アルマ・マックリン)