高く聳え立つ塔が映しだされた画面から始まり、ジョブサン・ブルックフィールドにある1492年創立のブルックフィールド校の校内が俯瞰で映しだされます。先輩教師が新任教師に学校の歴史の話をしています。やがて汽車が到着し、生徒たちが続々と登校して来ます。
全寮制の寄宿学校なので生徒各自がベッドに荷物を置き、講堂に集合します。校長が新学年の訓示を全校生徒にし、今日は58年間無欠勤だったチップス先生が風邪で欠勤した事を伝えています。
その頃、道路では小走りで講堂に向かう83歳のチップス先生が登場します。白髪でふさふさの立派な口ひげを生やし、帽子を被って杖を持ち眼鏡を掛け、その眼はクリクリっとして愛嬌があります。額の皺や頬の皺、話し方も動きも如何にも83歳と思わせるような表情です。(現在の様に特殊メイクが無い時代ですから、ロバート・ドーナットは表情や動作の演技でカバーしています。モノクロ映画とは言え、お見事としか言いようがありません。)講堂に向かう途中で遅刻した新入生のドーゼット(ピーター・コリー3世)と出会います。二人が講堂に着いてドアを開けようとしたら錠が掛かっていて入れなので、その場で話をしながら待ちます。
やがて講堂のドアが開き、生徒たちが続々と出て来てチップス先生に声を掛けます。生徒たちの声掛けに冗談で返す光景は、チップス先生が全校生徒の人気者である事がよく分ります。校長はチップス先生が登校してきたので驚き、体調を気遣いますがチップス先生は外出禁止の処置に不満を言います。
その時、新任の教師を紹介され彼はチップス先生の人気の秘訣を聞きます。そうなるには長い月日が掛かったが、“ある人”のお蔭だと彼に言います。新任教師は初めての授業に向かい、チップス先生は家に戻って暖炉の前の椅子に座って転寝をします。
画面が変わって22歳のチッピング先生(未だチップス先生とは呼ばれていません。)が、ブルックフィールド行きの汽車に乗る為に駅のホームを歩いている場面になります。(83歳のチップス先生から一転して若返り、実年齢34歳ながら22歳に変身しています。勿論、顔には皺も無く眼もキリッとした好青年で、画像を観ても驚くと思います。)ホームは汽車に乗る生徒たちで溢れかえっています。
生徒たちと共に汽車に乗って席に着くと、向かいの席の生徒が不安げに下を向いているので声を掛けると、その生徒は突然泣き出してしまいます。(この生徒の名はハーブリーブス、大人になってから登場します。)
学校に着いたチッピング先生は、先輩の案内で自分の部屋に入り荷物を置いて校長室に向かいます。教員室で校長から先輩教師に紹介され、生徒たちが行う新任教師の洗礼に対する様々なアドバイスを受けます。教室に入ると早速生徒たちの悪戯が始まり、帽子を巡って一騒動あります。
生徒を席に着かせて課題の感想文を書かせますが、生徒たちはチッピングを困らせるような質問をし始めます。その内生徒たちが言い合いを始め乱闘になります。チッピングが仲に入って収めようとしますが、騒ぎに巻き込まれている最中に校長が教室に入って来ます。校長は生徒たちに罰を与える事を伝え、チッピングには校長室に来るように言われます。
校長からは退職を勧められますが、もう一度チャンスをくれる様に頼み、威厳を持って厳しく生徒に接するようなります。しかし、大事なクリケットの対試合の日に生徒たちの態度が悪かったので、自習させる事にしたので主要メンバーが欠場して試合は負けてしまいます。
生徒のジョン・コリーから母校が負けたのは悔しい、先生は大っ嫌いだと言われます。チッピングは、厳しく対応した事を大いに反省し、生徒と信頼関係を築く事の大切さを知ります。
次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『チップス先生さようなら 』 作品データ
原題:GOODBYE, MR. CHIPS
アメリカ・イギリス 1939年 モノクロ 114分
監督:サム・ウッド
製作:ヴィクター・サヴァル
原作:ジェームズ・ヒルトン
脚本:R・C・シェリフ、クローディン・ウェスト
エリック・マスクウィッツ
撮影:フレディ・ヤング
編集:チャールズ・フレンド
音楽:リチャード・アディンセル
出演:ロバート・ドーナット、グリア・ガーソン
テリー・キルバーン、ポール・ヘンドリード
ジョン・ミルズ、ジュディス・ファース