偉大な夢を抱いてスタートした二人だが、思うように計画は進まずイーサンは諦めかけていた。ホイト・シティを創る為に購入した広大な土地の4分の3を売る契約をしようとしていた。そこに外で今晩の食料になるウサギを銃で仕留めたハンナが入って来て、土地を購入しようとする男を追い出してしまいます。ハンナは、イーサンに金山の夢を見た話をします。太陽を背にした黒い山が、空から手招きするような夢だったと。二人は一時この土地を離れ、カリフォルニアで金山を探しに行く事にします。
イーサンは早速仲間を誘いに町に出掛け、話が纏まり仲間と酒を飲んで盛り上がります。しかし、手元の資金は100ドル。酒場から出ると、外にいたギャンブラーのスティーリーに声を掛けられます。私と勝負して勝ったら1ドルが100ドルになります。3枚のカードの中からエースを見付けるだけですが、イカサマです。イーサンは最初断りますが、仲間に言われるままに勝負して負けてしまいます。元手の100ドルを取り戻す為に勝負をして、結局馬や牛や鶏等の全てを失います。
家でイーサンの帰りを待っていたハンナは、家の家畜や荷馬車を運び出すのを窓越しに見て、銃を片手にギャンブラーの許へ行きます。そしてハンナはギャンブラーに銃を向けて、酔っ払い相手に公平じゃないから全部返すように言います。(スティーリーとの初顔合わせのシーンは、ハンナの顔の左半分だけしか写していません。ここから奇妙な三角関係が始まります。)ギャンブラーは私も少し酔っていたし、銃を向けて返せと云うのは不公平だからカードで決着を付けよう言います。勝負の結果、ハンナはお金も家畜も全て取り戻して帰宅します。情けない表情のイーサンに全て取り戻したと言い、テーブルにお金を出して何事も無かったように夕食の支度を始めます。何か言おうとするイーサンに食事をしながら明日出発だから準備してと言います。
画面が変わって、ハンナが伝記作家に話しているシーンに戻ります。カルフォルニアに行ったら直ぐに金が見つかると思ったが、見つからず8年掛かって銀を見付けた。金鉱探しからイーサンが帰った時は幸せだったが、いない時は苦しかった。その8年間スティーリーは傍にいたが、彼には恋愛感情は無かったと語り、サクラメントで宿を営んでいた頃の話が始まります。
ハンナは宿のラウンジのランプを消していて、スティーリーが椅子に座って彼女の店じまいを待っている。全てのランプが消えた時、スティーリーはハンナをコンサートに誘うが断られる。(ここから画面は暗転し、シルエットだけになります。登場人物の感情が断絶している時、表情が見えない画面が映し出されます。)スティーリーはハンナを思うあまりイーサンを非難するとハンナは平手打ちをします。直ぐにハンナは謝罪し、イーサンの子供を身籠っている事を伝えます。その時イーサンが帰って来て、銃を手にして女房から離れろと言います。銃を突き付けているイーサンに、銃を所持しないスティーリーは丸腰だと言って上着を広げて見せます。イーサンに出て行けと言われて、スティーリーは店から出て行きます。
イーサンは疲れているから眠りたいと言って、二人で二階の寝室に行きイーサンはベッドに横たわります。いくら掘っても金は出てこないし、青いベトベトした物が邪魔をすると言います。そして掘っている丘の光景を話し出します。その丘は太陽の丘と呼ばれ、空から手招きしているように見えると言います。イーサンのブーツを脱がしているハンナは青いベトベトした物を手に取り、イーサンの話が以前自分が見た夢と同じだと思います。ハンナはブーツに付いた青いベトベトした物を搔き集めて手に取り鉱物分析所に向かいます。
分析の結果、その青いベトベトした物は純度の高い銀で、8年間の苦労が実り大金持ちになって夢を実現する事が可能になります。ハンナは急いでイーサンに知らせに走りますが、途中でスティーリーに出会い山を買う為の資金を借金します。(スティーリーのハンナへの片思いが切ない。)
ハンナはイーサンに銀山を掘り当てた事を伝え、直ぐその山を購入するように言ってお金を渡します。イーサンは荷物を持って階段を降りた処で、ハンナにお金の出所を問い質します。(この場面も二人のシルエットになります)ハンナはそれに答えずイーサンに抱きつきます。イーサンはお金の出所はスティーリーだと確信し、二度とここには戻って来ないと言って出て行きます。
画面が変わって双子の親となったハンナは、スティーリーが手配した馬車に乗りバージニア・シティに向かいます。激しい嵐の中、橋を渡る時に鉄砲水で橋もろとも馬車は川に流され、子供たちは死にハンナだけが生き延びます。次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『英雄を支えた女』 作品データ
アメリカ 1942年 モノクロ 90分
原題:The Great Man’s Lady
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
製作:ウィリアム・A・ウェルマン
脚本:W・L・リヴァー
原作:ビーニャ・デルマー(コスモポリタンの短編小説「人間の側面」)
アデラ・ロジャース・セント・ジョンズ
ソーナ・オーウェン
撮影:ウィリアム・メロ
美術:ハンス・ドレイアー、アール・ヘドリック
編集:トーマス・スコット
音楽:ビクター・ヤング
出演者:バーバラ・スタンウィック、ジョエル・マクリー
ブライアン・ドンレヴィ、K・T・スティーブンス
サーストン・ホール