パーティーの翌日、キースは学長にフランシーの事を告げようとしますが、真面に相手にされないので彼女は新入生だと言います。キースはフランシーをピーターの教室に連れて行き、植物学の講義を受ける様に言い教室に入れます。(セクシーで可愛いフランシーが教室に入って来たので、男子学生の冷やかしが面白い。)
ピーターはフランシーにアパートを借りるよう言い、彼女はキースの家から出てアパートに引っ越します。彼女が借りた部屋のベッドは、足側を持ち上げて壁に収納するベッドです。メイドさんがベッド・メイキングして収納してドアを開けて部屋を出る時、風が吹いて部屋の奥のドアがバタンと閉まった時にベッドが倒れてきました、するとメイドさんは“ウォルター”と叫んで、ベッドを収納しました。フランシーは、“ウォルター”って何の事かメイドさんに聞くと、彼女の旦那さんの名前が“ウォルター”で、事ある毎に倒れるので何かが倒れると叫んでしまうと言います。(この“ウォルター”と云う台詞は、度々登場します。)
フランシーが借りたアパートをピーターが訪ねると、そのアパートは女性専用だったので管理人に入室を断られます。仕方なくピーターとフランシーは、二人っきりなる為にボート置き場に行きます。ボート置き場で床に置かれたボートに入って話始めると、静かにするように後ろから声が掛かります。驚いたピーターが立ち上がった時に、壁に掛かった船外機のスイッチを入れた為、ボート置き場は大騒動になります。
そこから逃げ出してから、ピーターは父親に結婚した事と告げる為大学に行きます。学長室でスピーチの準備をしている父親に話を切り出そうしますが、父親は相手にしないでドアを開けて講堂に入ろうとします。ピーターは、背中越しに大声でフランシーと結婚した事を伝えます。講堂に入った父親は、スピーチを止めて学長室の戻ってきます。それを見た母親は、学長室に向かいます。学長室でピーターと父親が、怒鳴るような言い合いをしています。その様子を見た母親は、心臓の具合が悪くなり椅子に座り込んでしまいます。
ピーターはその場を離れ、フランシーをアパートまで送ります。車を降りたフランシーが“さよなら“と言うので、アパートのエレベーターまで追いかけて行くと、管理人に止められて小さなコントがあります。ピーターはフランシーの部屋に窓から入り、帰らないように説得します。(この場面では、フランシーの揺れ動く心情をジンジャー・ロジャースが好演しています。)
フランシーは留まる事になり、ピーターは窓から外に出ます。最後の梯子にぶら下がっている時に、それを見ていたヘレンに声を掛けられます。フランシーに宿題を教えていたと言い訳をして、ピーターはその場を去ります。ベッドで安静にしている母親にヘレンは、ピーターがフランシーの部屋から出て来た事を伝えます。母親は直ぐにベッドから出て、フランシーに会いに行きます。フランシーの部屋で、“あなたとピーターの事は承知よ”と云ったので、フランシーは二人の結婚の事を承知したのだと思います。フランシーは結婚した事を伝えるのに悩みましたと言うと、母親は初耳だと言って椅子に座ります。
椅子に座った母親は笑顔になり、二人の結婚をとても喜んでいる表情します。(ボーラ・ボンディの演技が、素晴らしいです。観ていて、こちらも笑顔になります。)母親はフランシーから煙草を貰い飲もうとすると、フランシーは心臓に悪いからと言って必死で煙草を取り上げます。すると母親は、私の病気は都合良く出てくる病苦だと言います。面倒な事が起こりそうになると、病気になってそれを終わらせてきた、それで良い結婚生活を過ごす事が出来た事をフランシーに言います。
そこにキースが、フランシーを大学に連れて行く為に登場します。ここからが最大の見せ場、キースとフランシーと母親のダンスが始まります。
三人が踊っている最中、父親が部屋に入って来ます。ここでフランシーと父親の対決です。父親はフランシーの話を真面に聞かず“離婚しろ”の一点張りです。最後にはピーターをクビにするとまで言うので、フランシーは折れて出て行くと伝えます。母親は夫の態度に嫌気がさし、30年我慢してきた事を言い母親も出て行く事にします。
授業中のピーターの教室にキースが入って来て、フランシーが出て行った事を伝えます。ピーターは代講を助手に頼み、用具室でフランシーに電話をし、列車が出るまでに父親を説得すると言います。ピーターとキースは、容疑室のある薬品で酒を造ります。ピーターは、たらふく飲んで教室に戻り講義を始めますが、奇声を上げるので父親は授業を終わらせます。その後父親と話をしますが、列車の発車時刻5分前なので駅に向かおうとしますが、その場にぶっ倒れてしまいます。
駅で待つフランシーはピーターが来ないので、泣く泣く列車に乗ります。列車の中でもフランシーは泣き崩れていますが、そこにポーターが気を利かせてサンドイッチを持って来ます。(このポーターを演じているのが、ウィリー・ベストです。)笑顔で自慢げにハム・サンドをテーブルに置きます。フランシーは泣きながら、お礼を言って食べようとしますが、涙が止まらず食べられません。笑顔だったポーターは、泣きそうになりながら部屋を出ます。今度は隣の部屋の母親に笑顔でハム・サンドを持って行きますが、母親も涙が止まらず食べる事が出来ません。可愛そうにポーターは、今度も半ベソ状態で部屋を出ます。
ポーターは恐る恐るフランシーの部屋にマスタードを届けますが、持ち帰るように言われ部屋を出る時、煙草を注文されます。営業時間が過ぎているので、誰かから調達しますと言って部屋を出ます。他凹を1本手に入れた時に、母親にも煙草を頼まれます。ポーターは母親の方が落ち込んでいるので最後の1本を差し出すと、母親はその煙草を半分にします。半分になった煙草をフランシーに渡すと、”お母さんだ”と言って隣の部屋の母親と再会します。喜んで笑顔になった二人は、ハム・サンドを食べ始めたのでポーターはマスタードを持って来ます。彼が部屋に入ると、又二人とも泣き崩れています。それを見たポーターも泣き出しそうになりますが、この表情をカメラはアップで撮ります。(この顔の演技が、アメリカ人には受けたんでしょうね。)
突然、列車は汽笛と共に急停車します。線路に止まっていた車と衝突した為ですが、間もなく列車は出発します。最後尾の車両から乗り込んだピーターと父親が現れ、父親は母親に帰るように言いますが拒否されます。そこで父親は心臓が痛むと言って仮病を使って部屋に入ります。ピーターはフランシーの部屋に行き、キスしようとした時に上に収納されたベッドが下りてきて、フランシーが思わず“ウォルター”と叫びます。ピーターがドアを閉めるとエンド・マークが出て、よく耳にする音が流れて終わります。洒落っ気タップリ、最後の最後まで楽しませてくれます。
ジョージ・スティーヴンス監督は、列車の個室のセットを2室同時に見られるように作っています。フランシーと母親が夫々いる個室を、ポーターが行ったり来たりして笑顔になったり泣きそうになったりと、ポーター役のウィリー・ベストが存分に演技出来るようにしていると思います。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
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『モーガン先生のロマンス』 作品データ
アメリカ 1938年 モノクロ 90分 劇場未公開
原題:Vivacious Lady
監督:ジョージ・スティーヴンス
製作:ジョージ・スティーヴンス
脚本:P・J・ウルフソン・アーネスト・パガノ
撮影:ロバート・デ・グラス
音楽:ロイ・ウェッブ
出演者:ジンジャー・ロジャース、ジェームズ・スチュワート
ジェームズ・エリソン・ビューラ・ボンディ
チャールズ・コバーン・フランセス・マーサー
グラディ・サットン・ジャック・カーソン
フランクリン・パングボーン、ウィリー・ベスト