漆黒の闇の中、蒸気機関車の汽笛が大きく響き渡ります。やがて汽車はシカゴ駅のホームに停まり、二人の男がホームに降ります。重要な証人をロスアンゼルスまで護衛するブラウン刑事と相棒のフォーブスです。ブラウン刑事は今乗って来た列車が1時間後にロスアンゼルスに戻るので、ポーターにコンパートメントの号室を告げて荷物を運んで貰います。相棒のフォーブスはタクシーを手配し、二人は証人のアパートメントに向かいます。車内でフォーブスが“、証人はどんな女だと思う”とブラウンに聞きます。ブラウンは“チンピラの妻だから、派手好きで毒々しい女”だと答えます。フォーブスは“そうだったら5ドルやるよ”と言って賭けをします。やがて、タクシーは証人が住むアパートメントの前に停まります。フォーブスは運転手にエンジンを掛けたままで、ライトを消して待つように指示してブラウンと証人の部屋に向かいます。

タクシーの車内でニール夫人の事を話す二人(右)
証人がいる2階の部屋の護衛の刑事がドアを開けると、レコードを聴いている証人のニール夫人はブラウンの予想通り派手で毒々しい女性です。煙草を吹かしながら“同行者は?”と聞くので、フォーブスが“我々だ”と言うと、“本物か”と言います。フォーブスが地方検事の署名入りの令状を見せます。隷従を見たニール夫人は、太々しい態度で荷造りを始めます。フォーブスが手に取った新聞を見ると、殺されたニールの収賄リストを警察が捜索中で、大陪審の特別審査でニールの妻が証言するようだと書かれています。

ニール夫人の荷造りが終わり部屋から出る時、フォーブスが先に出る事になって葉巻を咥えながら出て行きます。部屋の外に出たニール夫人がコートを着た時、真珠の首飾りの紐が切れて真珠が床に散らばります。その内の2個が1階の床に落ちます。そこには銃を構えた男が立っていて、2階の様子を伺っています。(カメラはその男の靴から上半身までパンしますが、顔は陰で見えません)

銃を構えながら上の様子を伺う殺し屋(右)
フォーブスが階段を降りて踊り場で立ち止まり、葉巻に火を点けます。ニール夫人が階段を降り始めた時、殺し屋が立っている後ろのドアが開き殺し屋は発砲しました。フォーブスは銃弾を2発喰らいながら1発撃ち返して倒れます。ブラウンは逃げ出した殺し屋を追いかけますが逃げられます。

2発の銃弾を受けながら反撃したフォーブス(右)
ブラウンは銃撃の現場に戻ってフォーブスの死を確認し、入ってきた男に警察に連絡するように言います。その男の証言から犯人の顔を不明だが、コートの襟に毛皮が付いていた事を知ります。ブラウンはニール夫人とタクシーに乗って駅に向かいます。車中では落胆したブラウンにニール夫人は皮肉や嫌みな事を言うので二人は険悪な状態になります。(チャールズ・マックグローの声はドスが利いています。)ブラウンはニール夫人に汽車の乗車券とタクシー代金を渡し、顔を知られているので駅の近くで降ります。

タクシーの車内でブラウンと言い争いをするニール夫人(右)
画面が変わって駅舎内、組織からの電話を受けている男が映り、傍にいる二人の男にニール夫人の顔は分からないから刑事を尾行するよう言います。ブラウンが改札口を通る時、髭を生やした殺し屋が尾行しているのに気が付きます。ホームを歩いて行くと殺し屋が尾行して来るので、殺し屋に悟られないように列車内に入ります。しかし、殺し屋は列車の通路を歩くブラウンを発見し、窓にブラインド降ろすのも確認しています。(このシーンではブラインドが下りた窓に殺し屋の姿が映し出されます。この映画では窓に写った映像が度々出て来ます。)個室に入りニール夫人と話していると、ドアがノックされて車掌が他人の荷物が紛れてないか確認に来ました。荷物を探しているのは殺し屋で、ニール夫人がいる隣室を探そうとしますが、ブラウンは相棒が同行出来なくなったので空室だと言います。車掌に切符の払い戻しを頼み、殺し屋を追い返します。殺し屋が出て行った後、ニール夫人が寝台は狭すぎて隠れる場所が無いと言って、ブラウンに詰め寄ります。ブラウンは奴が撃ってきたら、俺が撃ち返すと言います。

ブラウンの部屋に現れた殺し屋(右)
画面が変わって、ブラウンが食堂車に入ると殺し屋と出会い、彼から目を離さず傍にあった席に座ります。ウエイターに向かいに座っている女性と同じ飲み物を注文します。飲み物が運ばれて来ると、向かいの女性は席を移動すると言って立ち上がり歩き始めます。その女性は何かに躓いたか、手に持っていた飲み物が零れてブラウンにかかってしまします。謝罪する女性に大丈夫だと言い、ウエイターに同じ飲み物を注文します。

飲み物が来てもよそ見をしているブラウンに、向かいに座っている女性が落ち着くように言います。ブラウンは“今夜は特別だ”と言いながらお金をテーブルの上に置きます。殺し屋がいた席を見るといなくなっているので、“失礼”と言いながら殺し屋の痕を追います。通路に出ると太った男がドアから出てきて、行く手を阻まれます。通してくれと言うと、男は“太った男は列車と支障が悪い“と言って通路の曲がり角で身体を交わします。

通路の曲がり角で太った男の前を通るブラウン(右)
画面が変わって、殺し屋がブラウンの個室に忍び込んでニール夫人を探しています。隣室の錠が開いていたので、確認しますが手掛かりはありません。そこに車掌が現われて殺し屋のケンプに電報を渡し、あなたの部屋じゃないと言います。ケンプは隣の部屋に自分の荷物がないか確認していたと言います。

殺し屋のケンプに電報を渡す車掌(右)
ブラウンが部屋に戻ろうとした時、ケンプが電報を読みながら歩いてきます。急いで引き返して行くと、例の太った男がこっちに向かってきます。ブラウンは咄嗟に近くの部屋に入ると、子供が“誰かいるよ”と言いて明かりを点けます。二段ベッドの上にいる女性が“一体何なの”と言うと、子供が“列車強盗だ”と言います。ブラウンは乗客で部屋を間違えたと言い、謝罪して部屋を出ます。子供は強盗だから通報すると言って部屋から出ようとしますが、女性は“トミー出て行っては駄目”と言って引き留めます。

咄嗟に入った部屋で子供に列車強盗と言われるブラウン(右)
殺し屋のケンプは食堂車に入り、待機していた仲間の向かいの席に座って無言で手掛かりが無かった事を伝えます。ブラウンは、トイレに荷物を持ち込んで隠れていたニール夫人を部屋に連れ戻します。ニール夫人の部屋で、ブラウンが“奴らは戻って来るだろう”と言い、勘だけど相棒がいる場合があると言います。ニール夫人が“今夜は眠れないわね”と言うと、ブラウンは“何日も眠れない人もいる”と言います。ニール夫人が“誰のこと”と聞くと、ブラウンは“フォーブスの女房”と言って自分の部屋に戻ります。ブラウンが上着を脱いでいると、ドアノブが回り出したのでドアを開けて拳銃を向けます。早速その相棒が訪れ、ビジネスの話をしに来たと言います。

ビジネスの提案に来たという男(右)
男はヴィンセント・ヨーストと名乗り、女を引き渡せば2万5千から3万ドル払うと言います。ブラウンは収賄未遂で逮捕すると言うと、ヨーストは機器販売会社の幹部だから、そんな話は誰も信じないと言って、財布から5千ドル取り出してブラウンに渡します。隣室のニール夫人は、ドア越しに二人の会話を聞いています。ブラウンは取引を断ってお金を返すと、ヨーストは大金の使い道を考えろと言い、フォーブスの家族にも渡すことが出来ると言います。俺たちが先に見付けたらこの取引は無効だと言って、気が変わったら私の元に来るように言って部屋を出て行きます。ブラウンは隣室のドアの前で立ち止まり、隣室のニール夫人も無言のままでベッドに行きます
。

)二人の会話をドア越しに聞くニール夫人(右)
次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。