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ヨーゼフが帰宅すると妻のベッドに見知らぬ男が寝ています。「ハムレット」の舞台の途中で席を立った男だと分かり、“生きるべきか死ぬべきか”と台詞を言うとベッドの男は飛び起きます。ヨーゼフは彼に質問をし始めますが、そこにマリアが帰宅して教授が明日ゲシュタボに行く事を中尉に伝えます。何も分からないヨーゼフは質問を続けますが、マリアと中尉の会話は進みます。教授を殺害する必要がある事を理解したヨーゼフは、自分が殺害すると言い出します。
マリアは教授の部屋を訪れシャンペンで乾杯して、教授に署名の筆跡で性格を調べると言って白紙に名前を書かせます。そこにゲシュタボ本部から兵士が来て、教授に同行するように言います。教授はマリアを部屋に残して、ゲシュタボ本部に向かいます。マリアは、署名された白紙にタイプライターで自殺を思わせる文を書いてベッドの枕に置き、帰宅しようしますが教授が来る迄部屋に監禁されます。
教授を迎えるゲシュタボ本部は、劇場にゲシュタボ本部の看板を掲げて変装した劇団員が待ち構えてます。教授はヨーゼフが変装したエアハルト大佐に会い、地下組織メンバーの名簿を渡します。これで名簿奪還の作戦は終わる筈でしたが、ホテルのトランクの中に写しがある事が分かります。報告書を作成すると言ってヨーゼフは退室し、ドボッシュに写しがある事を伝え次の策を練るように言い教授の元に戻ります。
ヨーゼフは時間稼ぎをしようとしますが、マリアと中尉の事を聞いて激怒した為に教授に正体を見破られます。教授はヨーゼフに銃を突きつけ、部屋から逃げ出します。劇団員が総出で教授を探し始め、教授は劇場の観客席から舞台へと逃げますが、レジスタンスに射殺されます。
場面は変わってホテルの部屋で待つマリアの元に本物のゲシュタボが現れます。教授に変装したヨーゼフが帰宅すると、ゲシュタボのシュルツ大尉が直ぐエアハルト大佐が会いたいと伝えゲシュタボ本部に行きます。大佐は、総統と親しい教授に取り入ろうと色々話し掛けます。ここで大佐が話す事は、既に登場していた冗談で悪い方に話が展開します。偽教授と大佐の会話は、もの凄く面白いです。それに可哀そうなシュルツ大尉が会話に加わり、さらに面白くなります。(ナチスへの皮肉たっぷりのシーンです。)大佐は教授のロンドン行きの飛行機を手配しますが、教授が二人分を要求したので翌日マリアに合う事になります。
翌日マリアが大佐を尋ねると、教授が殺害された事を伝えられます。教授が死んだので、大佐はマリアと親しくなろうとします。マリアが退室した後、死んだ筈の教授から”少し遅れる“と電話が入ります。マリアはヨーゼフにゲシュタボが教授の死を知った事を伝えにホテルに行きますが、ヨーゼフは既にゲシュタボ本部に向かっていました。マリアは劇団員が集まっている所に駆け付け、ドボッシュに教授の死体が見つかった事を伝え、ヨーゼフを助けてくれるように頼みます。
場面が変わってゲシュタボ本部、教授に扮装したヨーゼフは本部の奥の部屋に通されます。そこには本物の教授の死体が椅子に座らされていました。ヨーゼフはポケットにあった予備の髭で細工をします。ヨーゼフは大佐を部屋に呼び入れます。ここからどっちが偽物かの探り合いが始まり、素晴らしい会話のやり取りで話は進みます。大佐はヨーゼフの作戦にまんまと引っ掛かります。ヨーゼフを本物だと思って帰そうとした時、劇団員扮する親衛隊の一団が現れます。親衛隊の責任者が、総統が到着した途端に陰謀が発覚したと言って大佐を責め、この教授は偽物だと言って髭を引っ張り正体を明かします。ヨーゼフは偽の親衛隊に連れ去られ、大佐は途方にくれます。
劇団員が集まってワルシャワから脱出出来ないと話している時に、ドボッシュが脱出作戦を思い付きます。ヒトラーが観劇に来るのを利用して、「ハムレット」で槍持ちをしていたグリーンバークを主役にした大胆な作戦です。劇団員は全員で稽古を始めます。
大勢の親衛隊の中に劇団員は紛れ込んで隠れます。劇場にヒトラーが現れ、舞台が始まる迄の合間にグリーンバークが廊下に飛び出し、例の台詞で演説をします。ラウィッチ扮する親衛隊隊長は彼を偽の親衛隊員に連行させ、不祥事が起こったのでブロンスキー扮するヒトラーにこの場を離れる様に進言します。偽親衛隊一行は車で空港に向かい、ヨーゼフは途中でマリアを迎えに行きます。しかし、ヨーゼフは付け髭を失くしてしまいマリアを迎えに行けなくなります。
一方、ヨーゼフの迎えを待つマリアの部屋に大佐は突然訪問して来ます。マリアがポーランド側のスパイ疑惑で質問をしますが、全て見事に交わされてシュルツ大尉が怒られて退室します。部屋に残った大佐は、マリアに言い寄り口説き落とそうとします。マリアは人が迎えに来るからと拒否して逃げ回ります。そこにブロンスキー扮するヒトラーが現れ驚愕する大佐。マリアが部屋を出た後、部屋から銃声一発と倒れる音、そして“シュルツ”の一声。劇団員全員が飛行機に乗りこみ、ドイツ軍のパイロットとソビンスキー中尉が交代してスコットに向かいます。ドイツ軍のパイロット二人は、皮肉たっぷりの面白い方法でいなくなります。
スコットランドに着いた劇団員は新聞記者達の取材を受け、ヨーゼフはイギリスの舞台で「ハムレット」を演じる事になります。観客席にはソビンスキー中尉もいます。ヨーゼフが例の台詞を話すと、席を立つ若者が現れます。ヨーゼフもソビンスキーもビックリで、映画は終わります。最後の最後まで楽しませてくれる、ルビッチ監督の最高傑作だと思います。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『生きるべきか死ぬべきか』 作品データ
アメリカ 1942年 モノクロ 99分
原題:TO BE OR NOT TO BE
監督:ルンスト・ルビッチ
製作:アレクサンダー・コルダ
脚本:エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影:エオドルフ・マテ
音楽:ウェルナー・R・ハイマン
出演:キャロル・ロンバード:マリア・トゥーラ
ジャック・ベニー:ヨーゼフ・トゥーラ
ロバート・スタック:ソビンスキー中尉
フェリックス・ブレザート:グリーンバーク
ライオネル・アトウィル:ラウィッチ
スタンリー・リッジス:アレクサンダー・ツレッキー教授
シグ・ルーマン:エアハルト大佐
トム・デューガン:ブロンスキー
チャールズ・ハルトン:ドボッシュ