翌朝、ニール夫人はブラウンに朝食と煙草を届けるように頼むと、ブラウンは自分が持って来ると言って自分の残りの煙草を渡します。通路に出るとケンプが洗面所に向かって行ったので、寝台車の彼のベッドで荷物や背広を探り電報を見付けます。文面には“女は列車内だ。アルバーカーキ到着前に動け。デンゼルが接触する。”と書かれていました。カーテンから出るとトミーがいて、“何をしているんだ。この人は泥棒だ”と騒ぎ出します。ブラウンは騒ぐトミーを抱えて、トミーの部屋に連れ戻します。ブラウンが“お子さんです”と夫人に渡すと、トミーは“拳銃を持っている、泥棒は牢屋に入るんだ。”と言って騒ぎますが、夫人はトミーを部屋に引き入れます。

騒ぐトミーを抱えて運ぶブラウン(右)
ブラウンは通路にある給水機の水を飲んで一息入れていると、ケンプと会ったので“荷物は?”と聞くと“探している”と言ってケンプは食堂車に入ります。ブラウンも食堂車に入ろうとすると、昨日会った女性が声を掛けてきます。“今日も急いでいるの”と言われながら一緒に食堂車に入ります。先に入ったケンプは太った男と相席になっています。ブラウンはケンプを注視したので、女性が話しかけても上の空です。ブラウンが朝食は食べないと言うと、女性は昨日のお釣りと言ってお金を渡します。ブラウンは席に着くなり電報文を書き始めると、女性が“昨日は感じ良かったのに”と言います。書いている鉛筆の調子が悪く投げ出すと、女性は昨日と同様に“落ち着いたら”と言い、ブラウンは“努力している”と返します。電報文を書きながらケンプを見ると、ケンプと太った男がブラウンを見ています。やがて太った男がブラウンの席に来て、“サム・ジェニングス”と名乗り個室を譲って欲しいと言います。ブラウンは譲るのは止めたと言って断ります。ジェニングスは“車掌の意見を聞く”と言って去ります。

ブラウンに個室を譲って欲しいと言うサム・ジェニングス(右)
ブラウンは“事情を説明して来る”と言って席を立つと、女性が“私も後で知りたいわ”と言います。食堂車のウエイターに朝食を10号車A室に届けるように注文して食堂車から出ると、トミーと夫人に出会います。トミーは“銃を見せて”と言うと、ブラウンは“いつか見せてやる”と言ってトミーを抱き上げて入れ替わります。夫人が“銃を持っているの”と言うので、ブラウンは“泥棒には必須だ”と言って去ります。夫人は“なんて事を、信じられない”と言うと、トミーが“言ったでしょ、泥棒だって”と言って食堂車に入ります。食堂車に入った二人は、ブラウンが話していた女性のテーブル席に座ります。(トミーはこの女性の子供で、夫人は付添人です。)トミーは大きな声で“泥棒を捕まえて、逃がしてしまった”と言うと、夫人が“部屋を間違えて入った男性を泥棒と勘違いしている”と言います。

女性のテーブル席に座るトミーと付き添いの女性(右)
その話を聞いていたケンプが席を立ち、食堂車を出てドアの前で立ち止まって、女性の顔を見つめて立ち去ります。(夫人もケンプと目が合い、一寸驚いたような感じで一旦目線を落として、再度男を見直します。)。

ケンプの視線に気付き見つめ返すトミーの母親(右)
画面が変わって、太った男といる車掌がブラウンに話し掛けます。ブラウンは相棒が来るかも知れないので、個室は譲らないと言います。太った男は、“なら仕方ない”と言って、個室を諦めます。車掌は他を当たってみると言って、隣の車両に行ってしまいます。ブラウンは車掌に停車時間を聞こうと思ったと言うと、太った男が“ラフンタでは12分だ、2分後に着く”と言います。ブラウンは礼を言って、自分の個室に戻ります。ブラウンがソファーに座っていると、隣室のニール夫人がドアを開けて!“朝食が見当たらない”と言います。ブラウンはもう直ぐ来ると言うと、ニール夫人は“停車するのね”と言いながら窓から外を見ます。ブラウンは“窓に近付くな、部屋でトランプでもしていろ”と言うと”飢え死にしそうだ“と言って隣室に戻ります。”

ブラウンに朝食が無いと不満を言うニール夫人(右)
やがて汽車はラフンタ駅で停まり、ケンプはホームに降りて外からブラウンの部家を眺めています。列車内ではボーイがブラウンの部家に朝食を運んできます。ボーイがテーブルを用意すると言いますが、ブラウンは自分ですると言って押し問答をしている処にトミーの母親が通りかかります。するとブラウンは頼んでいないと言い出し、“俺は朝食を取らないんだ”言ってボーイを追い返そうとします。トミーの母親は”空腹じゃないのに、こんなに食べるの“言います。ブラウンは”俺は頼んでいない“と言って、ボーイの訴えを拒否して追い返してしまいます。ブラウンがトミーの母親に言い訳をしていると、通路に立っているトミーの母親がホームの男が私を見ていると言います。ブラウンが振り返って見ると、ホームのその男はケンプです。

トミーの母親を見ているケンプ(右)
トミーの母親が駅で買い物をすると言うので、ブラウンも一緒に降りて電報を打ちに行きます。ホームの売店でサンドイッチを2個買い、電報局で電報を出そうとしている時にヨーストが現われてブラウンに新聞を見せます。新聞には泣き崩れるフォーブスの妻と二人の娘の写真が1面の記事に載っています。ヨーストは”悲劇だな、力になりたいだろう“と言って電報局から出て行きます。ブラウンは地方検事宛ての電報で、ケンプ、ジェニングス、デンゼルの調査依頼を至急電報で頼みます。

電報局でブラウンに新聞を見せるヨースト(右)
電報局を出るとトミーが”拳銃を見せて“と言うので、内緒話をしようと言います。そこに付き添いの夫人が現われて、”この人の邪魔をしては駄目よ“と言ってトミーを連れて行こうとします。トミーは”内緒話をする“と言って、ブラウンとベンチに座って彼の話を聞きます。付き添いの夫人が売店で雑誌を見ているとトミーの母親が現われて、トミーの行方を聞きます。付き添いの夫人は、トミーの母親をシンクレア夫人と呼び、向こうで泥棒と話していると言います。シンクレア夫人はブラウンを見て、”彼だったの“と言ってトミーを呼びます。シンクレア夫人はブラウンに”泥棒だったの“と言うと、トミーが”誤解だったと“言います。トミーは母親が手に持っている紙袋を見て、”これ、僕に“と言います。中には先住民の酋長が作った羽根飾りの帽子(?)が入っていて、トミーは早速被って奇声を上げながら走って行きます。

度々出会う女性がトミーの母親だと知ったブラウン(右)
シンクレア夫人はトミーにどんな話をしたのか聞くと、ブラウンは極秘任務中だと伝えたと言います。夫人は”うまい言い訳を考えたわね“と言うと、ブラウンがトミーは詳しく聞かなかったと言って賢い子だと言います。夫人は”私は詳しく知りたいわ“と言いと、ブラウンは”俺が泥棒じゃないって分かっただろう“と言い、”君の事は子持ちとしか知らない”と言います。

シンクレア夫人は“まるで列車みたい”と言って、“走行中は景色がぼやけて、停まった時に見える”と言います。ブラウンは“なるほど言えてる、走り出すのが残念だ”と言うと、夫人は微笑みを浮かべて“列車に戻らなきゃ”と言ってブラウンも列車に乗り込みます。電報局ではケンプが組織のミッドウエスト機器販売会社宛てに“相手の偽名はシンクレア夫人”と打電します。

組織に電報を打ったケンプ(右)
次回に続きます。最後までお付き合い頂きまして、有難う御座いました。
『その女を殺せ』 作品データ
1952年製作 71分 アメリカ
原題:THE NARROW MARGIN
監督:リチャード・フライシャー
製作:スタンリー・ルービン
原案:マーティン・ゴールドスミス、ジャック・レナード
脚本:アール・フェルトン
撮影:ジョージ・E・ディスカント
出演:チャールズ・マックグロー (ブラウン刑事)
マリー・ウィンザー (偽のニール夫人)
ジャクリーン・ホワイト (ニール夫人)
ゴードン・ゲバート (トミー)
ウィニー・レナード (トロール夫人)
デヴィッド・クラーク